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「数学は暗記で解く」
このように豪語する人が京大にもいます。
数学は暗記だという意見には私も賛成です。私たちが「自分で考えついた」と思っていることの99.99999999%は、他人が考えたことをアレンジしたり、組み合わせたりしただけのものに過ぎません。
つまり、元となる知識がなければ、新しいものを生み出すことはできないのです。
これは数学でも同じです。簡単な例を挙げましょう。
四則演算(+−×÷)を知らない人に「次の二次方程式を解け」と言っても無理でしょう。では、四則演算を知っていれば解けるかと言われればそれも難しいです。普通の人が二次方程式を解こうと思ったら、二次方程式の解き方を知らねば解けません。もっと難しい問題であってもこれは同じなのです。
「知らなくても解ける」という人間は確かに存在しますし、京大にももちろんいます。(こういう人を見ると、本当にすごいと感じます。見た目は普通なのに・・・)
では「あなたもできるか?」といえばできないですよね。そんなことができる人間であれば、今頃このページなんて見てないでしょう。
われわれがそうした「本物の天才」に対抗する唯一の手段は、彼ら以上の知識を身につけることです。
先に紹介した「数学は暗記で解く」という人は、問題を見た瞬間に「この問題はこの定理を使えば解けるな」というのが分かるそうです。彼もまた天才でしょう。
そこまで達する必要はありませんが、「あっ、もしかしてこの定理を使えば解けるんじゃないか?」とちょっと考えれば思いつくくらいのレベルには達しておかねばなりません。
暗記ではなく「理解」
しかし、先ほどの「数学は暗記で解く」人は、各問題の解き方を一字一句暗記しているのでしょうか。そんなことはありません。
大切なのは、ポイントとなる論理の流れを押さえることです。
具体的には、「ここで○○の定理を使う」「こういう式変形をする」「こういう値を代入して調べる」「こういう風に文字でおく」「ここでベクトルを導入する」「ここで両辺を積分する」「ここで両辺に○○をかける」などです。
さらに、なぜ、そのような論理の流れになるのかに注意する必要があります。
たとえば「○○の定理を使った後に、こういう式変形をするのはなぜか?」「なんでこの値を代入して調べているのだろう?」「ここで両辺を積分するという考えをなぜ思いついたのだろう?」といった疑問が出てくると思います。
これらの一つ一つの疑問を解決していって、論理の流れが必然であると思えるまで解答を読み込むことが必要です。
この読み込みは、紙に書き写しながら行うのが良いです。紙に書き写すことで、漫然と読んでいたときには気づかなかった問題点が浮かび上がってきます。
紙の左半分を問題文を書き写すために使い、右半分に解決した問題点を書いておきましょう。
ここまで読んで、大切なのは「暗記」ではなく「理解」であることに気づかれたと思います。多くの受験参考書で「数学は暗記だ」と言っているのは実際には「理解」の意味です。
一字一句丸暗記していても論理の流れを明確に理解していなければ応用が利きません。「数学は暗記」という人は、このことを当たり前にやっているので「理解」ということに気づいていないのでしょう。
「数学は暗記+理解」です。暗記だけではいけませんし、暗記せずに理解だけすることも不可能です。心してください。
「理解」のための現実的な方法
上で書いたように、「解答を精読して、紙に書き写すことで問題点を浮き彫りにし、その問題点を解決することで理解する」のが一番いいのですが、なんと言ってもこの方法は時間がかかります。
ですので、もっと現実的に実行可能な方法をやりましょう。
といっても、やることは問題集を解くことだけです。そのちょっとしたポイントをお話させていただきます。ただし、単純計算は間違えることなくできるのが前提ですので、それができていない方は最初に単純計算に習熟してください。
まず、問題集を2冊用意してください。ここで2冊とも自力でやったら2割か3割くらいしか解けない問題集を選ぶのがミソです。1割以下しか解けないと解答を理解できない可能性が高いですし、6割以上解けると解法を覚えるという点では不向きです。
2冊のレベルに多少の差があるのなら、レベルの低い方を1冊選んで始めます。同じレベルであれば、どちらを選んでもよいです。
最初に問題を読みます。そして頭の中で答を組み立てます。このとき紙に考えを書いてもよいのですが、手間になるので頭の中で考えてしまいましょう。ここでは「どのような定理・式変形・実験(値を代入して調べること)をすればよいか」を考えます。
自分で少しだけ考える理由は「問題の意味を理解する」ためです。そのために図などを描くのもよいでしょう。ただし、計算はしないこと。計算を始めると時間がかかってしまいます。
さて、解法がまったく考え付かないこともあれば、糸口が見つかることもあるでしょう。そうして1分か2分考えたら解答を読みます。
ただし、解答を読む前に解答の余白に自分が考えた解法を書き写しておきましょう。これは後で使います。
解答を読むポイントは「ポイントとなる論理の流れを押さえる」ことです。2・3回読み直します。このときにはまだ解答の意味が理解できないと思いますが、「論理の流れ」を押さえるように頑張ってください。
さて、読み終わったら次の問題でも同じことをやります。あまりたくさんやっても忘れますし、時間の都合もありますから、1日4問程度でしょう。それが終わったら別の勉強をしてください。今日はこれで終わりです。
・・・そして翌日。
昨日覚えた問題を答えを見ずに解きます。解けない問題は、昨日と同じように解答を読んで、明日に回します。
解けた問題はいくつか点検します。「解法に矛盾はないか?」「なぜ、このような解法になるのか納得できるか?」「この解法を他にも応用できそうか?」などです。
さらに、解答の余白に書き込んだ「自分が最初に考えた解法」で解けないかどうかも考えます。解けそうなら実際に解いてみればよいですし、解けないならなぜ解けないかが分かるとよいです。
これを問題集が1冊終わるまで繰り返します。200問くらいの問題集なら、解けなくてやり直す分を含めても1日2時間、2,3ヶ月ほどあれば終わるでしょう。
1冊やり通したら、再び最初の問題に戻ります。本当は全問解きなおすのが一番良いのですが、時間がなければ解く必要はないです。問題を見て解法が即座に思い浮かぶかどうかやってみてください。考えても解法が浮かばないときはその問題をもう一度やり直す必要があります。こうしてようやく1冊が終わりです。
そしたら次は、2冊目の問題集に取りかかります。今度は最初から何も見ないで解いてください。2冊の問題集のレベルはほとんど同じはずですが、2ヶ月前からは考えられないほど解けるようになっていることでしょう。
それでももちろん解けない問題はあります。7割解けるようになっていれば上出来でしょう。3割しか解けなかった問題を、2ヶ月で7割解けるようになったわけですから飛躍的な進歩です。
もちろん解けなかった問題や間違えた問題は解きなおしてください。そして2冊目もやり遂げたら、もう一度最初の問題に戻って1冊目と同じようにします。
2冊目は1ヶ月強で終わるはずです。自分の成長を実感してください。
注意事項
問題によっては別解が載っています。できる限り、この別解を使っても解けるようにしましょう。別解がヒントになることがあります。ただし、別解がどうしても理解できないときは無理をする必要はありません。
問題集をやっていると、10回やっても理解できないような問題に出くわすことがあります。こうした問題はチェックだけつけて飛ばしましょう。そして1ヵ月後にもう一度その問題を見てください。解けるようになっているかもしれません。
問題演習をする目的は問題集を終わらせることではなく、問題が解けるようになることです。その点を心しておいてください。
上で書いたように、問題集は2冊やって始めて完結するものだと思っています。そのような問題集はないものか、と探した結果、「大学への数学 1対1対応」シリーズがよさそうです。ただし、このシリーズは本格的に受験勉強を始めている方には物足りないかも知れません。
以上のことは、物理の場合も同じです。多少の違いはありますが、その点はご自分で補正されてください。